株価チャートの基本

チャートは株価の過去の足跡を示したものですが、同時には相場の「これから」も暗示しています。
株式投資を行う上での貴重な判断材料となる株価チャートの基本的な見方について解説します。

株価チャートの前提

市場の動きはすべてを織り込む

株価は、業績・為替・景気動向といった経済的な要素や市場参加者の期待や不安などの心理的要素など、今ある全てのことを織り込んで動くという考え方です。

価格の動きはトレンドを形成する

トレンドとは「流行」とか「傾向」「方向性」といった意味です。日々の株価は上がったり下がったりを繰り返していますが、長期で見ると「上昇」か「下降」かあるいは「横ばい」かのトレンドを形成しています。

歴史は繰り返す

株価のこれからの動きを推測するなら、まず、過去の値動きを知ることが大切です。もちろん、過去と同じことが起こるとは限りませんが、株を売買するのは投資家であり、その投資家は過去の経験や相場に影響されるため、結果として相場もそのようになるケースが多々あります。

株価の基本

新聞の株式欄を見ると、一番上に「始値、高値、安値、終値」とあります。
これは前日(あるいは午前)の株式の取引での下記内容を示しています。

基礎データ

これらは「4本値(よんほんね)」と言い、その日の株価の動きを読むための基礎データです。
4本値は「1日の4本値」だけでなく、1週間、1ヶ月、1年のそれぞれの4本値も大切なデータです。
なお、前場または後場の最初の取引を「寄付き(よりつき)」、上場して初めてついた株価を「初値(はつね)」と言います。

ローソク足

株価の4本値を一つの記号(足)にまとめたものがローソク足(陰陽足)です。
ローソク足は、柱(実体)の部分と「ヒゲ(影)」と呼ばれる上下に伸びた線によって構成されています。
柱は「始値」と「終値」を示し、上に伸びたヒゲは「高値」、下に伸びたヒゲは「安値」を示します。

ろうそく足の説明

ローソク足では陽線と陰線を区別し、それにヒゲを付けることにより、投資家心理をビジュアルに知ることができます。
陽線の場合、その柱(実体)が長いほど買い勢力が強く、反対に陰線の場合は柱(実体)の長さが売り勢力の強さを示しています。
十字線のように柱(実体)がほとんどない時には、売りと買いの勢力が拮抗している状態であり、相場の転換点となる場合が少なくありません。また、ヒゲはその方向への抵抗の強さ(反対勢力の強さ)を示しています。

寄引同時線

ローソク足の見方

以下にローソク足の基本的な見方を紹介いたします。
いろいろなパターンから相場の方向性や勢いなどが読み取れます。
これらいろいろなパターンの解釈を覚えておくことがテクニカル分析の基本となります。

陽の丸坊主・陰の丸坊主

大陽線【陽の丸坊主】
極めて買い意欲が強い足。
底値で出た場合は方向転換しやすい。上昇に迷いなし。

大陰線【陰の丸坊主】
極めて売り圧力が強い足。
天井圏で出た場合は方向転換しやすい。下落に迷いが見られない。

陽の寄付坊主・陰の大引坊主

大陽線【陽の寄付坊主】
買い意欲は強いものの、上値に抵抗がある。
天井圏で出た場合は下落しやすい。

大陰線【陰の大引坊主】
売り圧力が強く、上値には抵抗がある。

陽の大引坊主・陰の寄付坊主

大陽線【陽の大引坊主】
買い意欲が強く、下値には買い支持がある。

大陰線【陰の寄付坊主】
売り圧力が強いものの、下値には買い指示がある。底値圏で出た場合は反騰しやすい。

陽のコマ・陰のコマ

小陽線【陽のコマ】
強持ち合い

小陰線【陰のコマ】
弱持ち合い

上影陽線・上影陰線

上影陽線
やや弱い線。買い優勢ではあるが、上値では売りものが控え、押し戻された。

上影陰線
かなり弱い線。買いが入るも続かず、押し戻され結局下落。

トンカチ

上影陽線
【トンカチ(かなづち)】

売り抵抗はあるものの、下位に出れば買い。

上影陰線
【トンカチ(かなづち)】

売り抵抗が強く、上位に出れば売り。

下影陽線・下影陰線

下影陽線
かなり強い線。売りが出るも買い勢力が強く押し上げた。

下影陰線
やや弱い線。売り優勢であるが、下値には買い支持がある

カラカサ

下影陽線
【カラカサ(首つり)】

タクリ線。買い意欲が強く。下位に出れば買い。

下影陰線
【カラカサ(首つり)】

タクリ線。買いが続かず、上位に出れば売り。

トンボ

寄引同時線
【トンボ】

売り買いが攻防し、転換を暗示します。

塔婆

寄引同時線
【トウバ(塔婆)】

上位に出れば、一相場の終わりを意味し、売りサインとなります。

テクニカル分析の第一の目的はトレンドを知ることであり、日々線を組み合わせただけの細かなパターンで相場全体を把握できるものではありませんが、株価チャートを見る上ではローソク足の理解は欠かせません。
また、ローソク足の理解は投資のタイミングを計る上で重要となります。ローソク足を見るとともにテクニカル分析にて投資家心理の動向を機敏に察知できるようになれれば、今後の投資活動にとって大きな可能性が開けます。